庶民派公認会計士が、日常や経験談をお伝えします

公認会計士の日常生活、日々の監査業務やちょっと踏み込んだ監査法人の実態などをお伝えします。また、5歳の息子をもつ父親としての側面もアップしていきます。愛する妻のぶーたも登場します。お楽しみに!

【監査法人】:1月業務のリアル

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皆様、ごきげん様です。

 

本日は公認会計士AKISANが、監査法人での1月業務についてお伝えしたいと思います。

 

なお、この記事は、公認会計士監査のリアルをお届けします。

公認会計士に興味があるけど、実際に監査法人で務めたらどんな仕事をするの?という疑問にお答えする内容となっています。守秘義務に抵触しない範囲でできる限り詳細にお伝えしていこうと思いますので、最後までお読みいただければ嬉しく思います。

 

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1月は、12月決算の残高監査がメインの業務になります。

監査で特に新人の時は、担当する勘定科目の前期比較(増減分析)と詳細テストがメインの業務になってきます。そのほかに確認状の回収、資料管理など雑務もあります。

 

※監査は、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、株主資本等変動計算書(SS)、キャッシュフロー計算書(CS)などについて、これらを利用する方(例えば、デイトレーダーなど)がこれを読んだときに、誤った判断や意思決定をしないように、重要な誤りがないかどうかをチェックすることです。

 

貸借対照表のサンプル→トヨタ自動車

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 1、前期比較を実施する。

読んで字の如くですが、勘定科目を前期比較し、その増減要因を確かめます。異常な動きがないかを確かめるために、まずはトレンドとしておかしな動きをしていないかを確かめます。その際は、ある程度の期待値というか、”こうなるはずだ“という感覚をもっています。

 

例えば、当期に土地を3,000万円分買ったという事実を把握していたとします。そうすると、前期比でBSの土地が3,000万円増加しているはずですよね。この期待値を持って、BSの増減を見た時に、土地が3,000万円増えていればおかしなことはないな、ってなるわけです。一方で減少していたら、あれ?増加するはずなのに減っているのは何でだろう?ということになり、土地を売却しているか、もしかしたら何か会計処理が誤っているかもしれない!というように気付けるわけです。なので、この前期比較っていうのはとても重要なんです!!

 

前期比較は、具体的には会社の経理の方から、試算表(上記のBSとほぼ同じもの)をいただき、エクセルファイルの監査調書に前期比較の表を作成します。そして、経理の方へ口頭もしくはメールで質問をします。その結果と監査人の判断を監査調書へ記載します。

 

監査調書の記述:土地は3,000万円増加している。経理担当へき質問した結果、主な要因は、○年〇月にA市の土地を購入したことによるとの回答を入手した。この点、監査人は取締役会議事録の閲覧を通じて、本件土地の購入について○月の決議を取り付けていることを確かめていることから、経理担当者の回答に不整合はないものと判断した。

 

2、詳細テストを実施する。

上記で前期比較を実施して、異常な動きがないことを確かめました。次は個別の増加取引について、その裏付けとなる証拠と突合していきます。これを詳細テストと言います。

具体的には、まず、固定資産台帳を経理の方から入手します。これを見ると取得年月日が載っているので、当期に取得した資産がどれかが判ります。そして、当期取得した資産から一定数をサンプルで検証します。基本的に監査では、全部を検証するわけではなく、一定数をサンプル抽出して検証します。

土地の3,000万円の増加を例にすると、1件で3,000万円の場合だけではなく、10件で3,000万円のケースもあります。10件の全てが同じような土地であって特殊な事情がなければ、その中から、一定数をサンプルして検証することにより、ほかの土地も同じだろうと評価することで十分だと考えているわけです。

このように抽出されたサンプルについて、土地の権利書や登記簿、土地購入代金の支払いを示す証憑を閲覧します。

これらにより、土地の所有権はクライアントになっているのか?支払金額と土地の計上金額は一致しているか?を確認していきます。今回は登記簿にクライアント名があり、計上金額お支払額と一致していることが確認できたので、土地の計上額に問題ありませんでした。

こうしてサンプルした土地の計上に問題ないことを確かめたため、延いてはBSの土地の計上額に問題ないことが確認できました。これでBSの監査のうち土地の部分が終わりです。

 

このように、勘定科目毎に、上記の1、2の対応を実施していき、全ての勘定科目について検証が終わると、BSやPLなどの監査手続きが完了します。

(※厳密には、全ての勘定科目をテストするわけではなく、重要な勘定科目に絞ってテストします。監査はコストや時間的な制約があり、全てを対応するのは不可能だからです。)

 

監査というのは、このようなことをやっているのです。

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1つ重要なポイントがあります。

 

会計士の監査は、一定金額未満については、例え誤りがあったとしても、無視することがあります。minor Pass(マイナーパス)といったりします。

これは、会社の規模からして明らかに金額的に重要ではないものについては、全体に影響を及ぼさないことが明らかであるので、問題としません。

監査の目的である利用者の判断や意思決定を左右するほどの重要性があれば、直すことが必要ですが、そうではないなら影響がないので、直す必要がないのです。

 

この金額は会社によって異なりますが、100万円くらいのものもあれば、数千万円、数億に及ぶこともあります。

 

また、会計士がこんなことを言ってはいけないかもしれませんが、会計士は最初から細かいところを見るようなやり方はしません。枝葉ではなく、幹の部分を見ていると言えます。もちろん全く見ないわけではないですが、力の入れ方が違うのです。

 

監査される経理担当者の方へお伝えしたいことは、まずは監査法人の監査のやり方を知って、同じ目線で数字の動きを見ることが大切ということです。

 

科目の増減分析で説明がつかないものがあれば、必ずクリアーにしてください。会計士も必ず突っ込みますし、それ以上に会社の決算数値が誤っている可能性があるからです。そして、会計処理などに疑問点があれば、会計の専門家である会計士にどんどん質問してください。

 

ってちょっと話が横道に逸れてしましましたが、1月の業務についてお伝えしました。

1月の会計士は臨戦体制(?)ですので、気合入ってます!

 

それでは、明日からいよいよ12月決算の開幕戦が始まります。

それではまた次回の記事でお会いしましょう!